デカダンス見ました

デカダンス見たので感想です。

オススメ!という情報だけもらって見たので、一話のあらすじとイラストだけチラっと見て「はいはい近未来デストピアものね~」と思っていたら、一話目の最後から二話目にかけてで度肝ぬかれました。

色んな意味で面白いアニメでした。

以下ネタバレ感想。

 

2020年の夏アニメだったんですね。

全12話。ユーネクストで見ました。

人間を襲う謎の生物ガドルにより衰退した人類が、物資も限られた中移動要塞デカダンスで戦いながら細々と暮らす退廃的な近未来が舞台。世界観はかなり作り込まれた感じで作画も良いなと感じつつ、正直目新しさはそんなにないかな~と思いながら見始めました。

しかし、そんな予想されうる視聴者側の感想を打ち砕くがごとく、一話の終わりから二話冒頭にかけて明かされる衝撃の事実。実は生き残った人類が暮らしている場所は世界のほんの一部の箱庭で、その外側に広がる世界ではサイボーグたちが暮らしており、人類を閉鎖空間に閉じ込めておいて自分たちは人間を素体としてログイン(憑依?)し、ガドルとの戦いをゲームとして楽しんでいたのだ!ということが判明しました。

主人公の視点から描かれていた世界が実は箱庭だったという展開もありがちといえばそうなんですけど、そういうものだと思っていなかったから純粋にびっくりしたし、サイボーグたちの二頭身くらいのゲームのキャラクターっぽいポップなデザインが序盤の人間サイドで描かれたストーリーとのギャップが強くて、アニメならではの面白さだなーと思いました。

箱庭世界の中で人間たちが世界の真実も知らず命をかけて人工生命と戦う一方、サイボーグたちにとってのデカダンスは単なる娯楽にすぎないという対比のシニカルな感じにシビれました。現実の自分たちの周辺にあるネットゲームに対するような温度感なのだろうなと伝わってくるのがより味わい深かった。

温度の無い無機質な残酷さというか、予期されるまだ起きていない絶望感のようなものに人は不思議と惹かれてしまうような気がします。(少なくともわたしはそう)

 

世界観の風呂敷があまりに広くて、この話がワンクールでどんな風に畳まれるんだろう……といらぬハラハラ感も抱きながら見てたんですけど、12話できれいにまとまっていてサクッと見やすかったのも良かったです。

それから主人公のナツメともう一人の主人公カブラギの関係性も。

人間サイドのバグ(デカダンスの世界では死んだとみなされてるが死んでない)ナツメと、サイボーグ側でかつてはゲームのトップランカーだったけど落ちぶれて日々無為に過ごしているカブラギが、出会ったことで物語が動き出していく。

カブラギがナツメに戦う術を教えるようになるきっかけは、そもそもナツメがバグだったから=バグである彼女がどんな風に世界に影響を与えていくのかというところにわずかな希望を見出したから、なんだろうけど、徐々にナツメという人間の生き方に勇気づけられ彼女をはじめとした人類のために奔走するようになる、というところが好きです。

「あきらめずに最後まであがきたい」というナツメの生き方は最後の最後までカブラギの原動力になり続けたし、ナツメの心が折れそうな時は反対にナツメからもらったエネルギーを糧に無謀に近いような行動を起こし続けるカブラギの姿がナツメの救いになったのだとも思うし。

年齢も性別も生きる立場も違う二人がそうやって互いにプラスになるものを与え合える関係性ってすごく良いなと思います。最後はまた再会できて良かった!

 

終盤はこんなことになってこの先一体どう結末がつくんだろう……この先に人類の未来はあるのだろうか……なんて思いもしましたが、大団円といえるところに収まったのは見ていて気持ち良かったです。

描かれていなかった部分も多く、いやもしかすると自分が理解できていなかったり見落としているだけなのかもしれないけど、謎な部分もたくさんあったように思いますが……楽しく見ることができました。

ちなみに謎な部分:素体は普通の人間っぽく見えるけどどうやって作られてるの?(人間なの?)とか、サイボーグの社会構造的な部分とか、ミナトさんなんでゲームやってないのにいつも人間の姿なの?とか

 

他に気になったところ。

ナツメと同じ人間仲間で同級生の紫髪のいじわる女の子とか、なんかもっと絡んでくるのかなとか嫌ってる理由描かれたり仲直りイベントあったりするのかなとか思ったけど、メチャクチャあっさりしてたな……。

あと、作中人類はあの箱庭を世界のすべてだと思っているけどあの世界にも始まりはあるわけで、一体どんな風にしてあの世界が始まったんだろう……というのもちょっと気になります。あの移動要塞を作り上げたのは人類ってことだけど、じゃあそれにデカダンスって名付けたのは誰なのかとか。作中人類たちの主な国籍とか言葉とかは分かりませんが、デカダンスがそのままの意味だとしたら作った人たちがそう名付けるか?と思って。ゲームの名前もデカダンスだし、本当は要塞を作ったのも名付けたのも外側のサイボーグたちなのかな……。

※作業がてら見てたので情報作中既出で見落としてるだけだったらスミマセン。

 

それから、最終話では人類がガドルの脅威の無い娯楽施設に生まれ変わったデカダンスの中でサイボーグたちと協調して平和に暮らしている姿が描かれていたけど、単純に良かったな~とも思いつつその平和はいつまで続くのだろう、ということもつい考えてしまいます。

もちろんガドルの脅威にさらされずにのびのびと生きていけるようになったことはあの世界の人類たちにとって喜ばしいことだと思うんですけど、本当に人類すべてがいつまでもあの暮らしに納得し続けるのだろうかと。

人間は欲深い生き物で、平和に慣れてそれが当たり前になるとさらに上を求めてしまう、というのはお決まりだし、作中でも問題視されていたように平和な世界で人類は今後もどんどん増えていくだろうことは目に見えています。そうなってきた時、彼らは果たして今の状況に甘んじ続けるんですかね。

そう考えると近い将来、ソリッドクエイク社からの人類独立をかけたサイボーグとの戦いが始まってもおかしくないよな~などと考えてしまいます。

 

12話でまとまっていて見やすいと言いつつも、描かれた部分の過去や未来も気にかかりもっともっと見たくなるような魅力的な世界観の作品だなと思いました。