映画感想

見た映画の感想。

若おかみは小学生!

今夜、ロマンス劇場で

 

すべて個人の主観に基づいています。

ネタバレ配慮は無いためご了承の上での閲覧をお願い致します。

 

 

若おかみは小学生!

NHKEテレにて地上波放送

児童文学がストライクゾーンだった頃は児童文学を読み漁っていたのですが、該当作品が発売した頃と自分の児童時代にビミョーにズレがあるので原作は履修してませんでした。

映画がメチャクチャ良かったという話を公開当時ネットでチラッと見かけていたのと、大人になってから女児アニメにハマりまくっていたので機会があったら見てみたいなと漠然と思っていたこともあり、地上波放送の機会に視聴。

両親を亡くして祖母の経営する田舎の旅館で暮らすことになった主人公・おっこが、祖母の幼馴染の幽霊の男の子と出会い、旅館の若おかみになる修行を始める話。

幽霊や妖怪のような超自然的な存在と触れ合うファンタジックさが女児向け作品らしく、それでいて両親を亡くしたことを受け入れがたく感じながらも明るくがんばるおっこのひたむきさは大人の心に突き刺さるものでした。

自分と似た境遇である、母親を最近亡くした少年に、「周りの人達がみんな気遣って優しくしてくれるんだから、自分も元気を出して頑張らなくては」とおっこは言っていました。(※台詞はうろ覚え)

その一方で、両親がまだ生きている夢や幻覚を繰り返し見るおっこ。車で高速道路を走ると、事故のトラウマが蘇るおっこ。

一見明るく元気な彼女の心が、とても危ういバランスで保たれている描写には見ていてドキリとさせられました。

そして物語の終盤、おっこが自分の両親が死んだ事故のドライバーを客として受け入れるシーン。

自分はおっこである以前にこの旅館の若おかみだから。春の屋のお湯はどんな人も拒まない、という祖母から受け継がれた言葉を引用し、おっこが気丈な姿を見せるシーンが物語の盛り上がりとして描かれていました。

小学生の子どもにそこまで言わせることに対する是非はあると思います。ただ、物語として、少女が大人の階段をのぼりはじめる姿が若おかみになるという主題を通して鮮やかに描かれているのは美しいなと感じました。

(あくまで労働すべき年齢ではありませんが)仕事を通して一人前の言動をやってのけること、そして同じ小学生ながら旅館の仕事にプライドを持って取り組むライバル・真月との和解といったおっこの精神的な成長として、両親の幻影との別離、心を支えてくれた超自然的存在たちとの別離が描かれているのも、寂しくも美しい演出だなと思いました。

真月との神楽のシーン、お湯につかりながら真月の本音を聞くシーンもとても素敵だなと思いました。

少し調べたところ原作は20巻もあるということなので、原作での真月との関係も気になるところだなと。きっと良い友達になれるに違いない……。

それと、グローリー水領様のキャラクターが非常に良くて出てくるたびに夢中になってしまいました。美人でエネルギッシュな素敵なお姉さん……おっこと出会ってくれてありがとう。

 

あと全然関係ないんですけど、前日に漫画「青野くんに触りたいからしにたい」の1~6巻を一気読みしたところだったので、そういう話でないと分かりつつも主人公と幽霊との触れ合いにちょっとハラハラしてしまいました。

 

時間を勘違いしていて冒頭10分見逃しているのですが、最初わりと重要な部分が描かれていたんですね。

次の機会にはきちんと最初から見てみたいです。

それから、映画観終わってから原作との違いが気になってあらすじ等検索したところ、原作の方には魔界編というものがあるらしく度肝を抜かれました。

幽遊白書か!?

 

 

今夜、ロマンス劇場で

土曜プレミアムにて地上波放送

ツイッターのフォロワーによる「逆トリップ」という触れ込みで興味を持ち視聴。

普段あまり邦画、特に恋愛ものは見ないのですが、設定がファンタジーということもあり抵抗なく見ることができました。

「逆トリップ」という単語はひょっとするとある界隈以外には一般的ではないものかもしれませんが、自分や周囲の人たちは、物語世界の登場人物が物語世界から現実世界へ飛び出してくるタイプのものを指して使用しています。

個人的にはシュワちゃんの「ラスト・アクションヒーロー」、ディズニーの「魔法にかけられて」なんかを彷彿とします。

今作のストーリーは、映画監督を目指す青年が恋をしたモノクロ映画ヒロインが、ある日スクリーンから飛び出してくるというもの。

現代、病院に入院している老人の若かりし頃の回想という構成をとっているのは意外でした。視聴前にざくっとあらすじだけ読んでてっきり現代での話かと思っていたので。

ただそれには理由があって、実は人に触れられると消えてしまうという秘密を抱えていたヒロインを、それでも最期の時まで愛し抜く青年の姿を描くための時代設定だったのにはなるほどとうなりました。

オタク的にとても感動し印象的だった部分は、ヒロインが映画から飛び出してきた理由でした。

人から楽しんでもらうために生まれてきたけれど、誰からも見られなくなった古びたモノクロ映画のヒロインである彼女は、自分を見つけてくれた青年に会いたくて、人に触れると消えてしまうという代償を払いスクリーンから抜け出してきたのです。「見つけてくれてありがとう」と言うために。

フィクション作品のキャラクターを思い焦がれることには基本的にはリターンが無く、ある種自己満足的な行為だと個人的には思っています。それを物寂しく思う人がいる一方で、私はむしろその一方通行感を心地よく感じるタイプの人間なのですが、それでもやはり自分が愛するキャラクターがもしかすると「見つけてくれてありがとう」という思いを抱いてくれているかもしれないという想像には、心に灯りをともすような温かさがあるなと感じます。

プリパラ主人公らぁらちゃんの歌う「Thank You♡Birthday」にも「ありがとう私を見つけてくれて」という歌詞がありまして……。

二次元キャラクターだけでなく、アイドルや芸能人など「推し」を持つ人間が多い近年なので、それだけ多くの人に響く可能性のある作品なのだろうなと思いました。

もちろんそれだけでなく、愛する人と共にあるため、互いに触れぬまま愛を育み貫いた二人の生涯の純粋さと切なさも魅力なのだと思います。

最後、主人公が用意した作中作の結末として描かれる(※私はそう受け取りました)若かりし主人公がモノクロ映画の世界に色をつける演出も美しく、幻想的だったなと思います。映画のラストはハッピーエンドが良いと言ったヒロインへの、主人公からの生涯をかけたプレゼントだったのかもしれないなと。

 

序盤のヒロインの高飛車っぷりで主人公がハチャメチャな目に遭うあたりはちょっと苦手な感じだったんですけど、そんなヒロインだからこそ青年の惚れた弱みのようなものだとか、恋は理屈を超えること、愛情の一途さ、ヒロインの秘めた殊勝さも際立ったのかもしれません。

あとヒロインのおかげで色々とやらかしたことになった主人公が、警察からも釈放されその後会社で普通にやっていけてる様子だったので、主人公の日頃の人柄の良さも間接的に描かれていたように思います。あと、現代とは違う時代設定だったからこそどうにかなった部分もありそう……そのあたりはコミカルに描かれていたのでコメディ要素として流してしまうべき部分なのでしょうけれど。

社長令嬢の女の子がとても可愛くて、でも絶対に彼女の恋は報われないんだろうなと分かっていたのですごく切なかったです。やあやあ我こそは報われないヒロインを応援したくなるオタク……

 

ガラス越しのキッスシーンはロマンスで非常に良かったですね。

またしても前日読んだ「青野くんに触りたいからしにたい」のワンシーンが脳裏をよぎりましたが。青野くん強すぎる。

頭の冷静な部分では衛生的なことがつい気になってしまうところですが、フィクションなのでね!